経とは
仏教において、仏や聖者の教えを文章にまとめたもののこと。「経典」と表記すると「経を記した典籍(書物)」ということになる。
梵語スートラの意訳。
修多羅と音訳する。
経とはたて糸の意で、転じて糸によって貫いて保持しているものを意味し、
古代インドでは、宗教あるいは学問の要綱をまとめた文章を指した。
仏教もこれにならって、仏や聖者の教えを文章にまとめたものを「経」というようになった。
(『浄土真宗辞典』 P.122 より)
三蔵
仏教聖典を総称して「三蔵」という。「三」は「経蔵」「律蔵」「論蔵」の3つを指しており、「蔵」は「一切の教えを蔵する」の意である。
経・律・論のそれぞれの内容は以下の通りである。
- 経蔵 ... 仏の教えをまとめたもの
- 律蔵 ... 仏教教団の規則をまとめたもの
- 論蔵 ... 仏の教えについて解釈・註釈したもの
また経・律・論に精通した者に与えられる尊称としても用いられ、そのような者達を「三蔵法師」または単に「三蔵」と呼ぶ。
始まり
釈尊の死後 [注1]、釈尊の教えを残し正しく伝えるために弟子達が集まって会議を行った。これを結集といい、釈尊の死後すぐに行われたものを第一結集という。その後も数回にわたって結集が行われた。そのようにして、現在に伝えられる経典が編纂されていった。
[注1] 釈尊の没年については諸説あるが、紀元前4-6世紀とみられる。
言語
経典には様々な言語で書かれたものが存在する。古いものとしては、パーリ語(巴利語)やサンスクリット(梵語)で書かれたものが現存する。これらの言語はインドや南アジア、東南アジアで用いられていた。
今日、日本で目にする機会が最も多いのは漢字の経典である。これらは中国で翻訳されたものである。代表的な翻訳家としては玄奘(600 または 602-664)や鳩摩羅什(344-413, 一説に 350-409)が挙げられる。
その他、チベット語等に翻訳された経典も存在する。
浄土真宗本願寺派で用いる経典
浄土真宗本願寺派では以下の3つを正依の(正しく拠り処とする)経典と定めており、3つを合わせて「浄土三部経」と呼んでいる。
- 『仏説無量寿経』
- 『仏説観無量寿経』
- 『仏説阿弥陀経』
さらに「浄土三部経」に加えて七高僧と親鸞の著書を聖教とし、大切にしている。また勤行にも用いられる。
なお便宜上、説明のためにこれらをすべて「お経」と表現することがあるが実際には七高僧や親鸞の著書は「経典」ではない。
また、本願寺第8代蓮如の『御文章』なども聖教に準じるものとして扱う。
参考文献
[1] 『浄土真宗辞典』(浄土真宗本願寺派総合研究所 本願寺出版社 2013年)
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