日常生活の中で読みやすいお経

【にちじょうせいかつのなかでよみやすいおきょう】

お経とは

たまにご門徒さんより「普段はどのお経を読めばいいのでしょうか」というご質問をいただくことがあります。 結論からいいますと、浄土真宗本願寺派の経本に載っているものなら大体何でも構いません。

しかし、読み慣れた人間が言う「大体何でも」はあまり参考になりません。もう少し具体的にご紹介させていただきます。

ところで、声に出してつとめる(読む)もの全般をわかりやすく「お経」と表現することは多いのですが、 お経とは釈尊の教えを文章化したものであり、 実際には親鸞聖人の書かれた『正信しょうしん』など「お経」ではないものも多く存在します。

ここでは厳密にいう「お経」ではなく「声に出して勤めるもの全般」についてご紹介させていただきます。

身近な経本に載っているもの

『浄土真宗本願寺派 日常勤行ごんぎょう聖典』を例に見ていきます。 数多く存在する聖教しょうぎょうのうち、この経本にはよく読まれるものが掲載されています。

これは目次のページです。この中で勤める機会が多いものとしては以下のものが挙げられます。

  • 『正信念仏偈』(『正信偈』)+ 和讃わさん(弥陀みだ成仏じょうぶつ)
  • 讃仏偈さんぶつげ
  • 重誓偈じゅうせいげ
  • 仏説阿弥陀経ぶっせつあみだきょう
  • 御文章ごぶんしょう

読みやすいものを選ぶ

読みやすさという点を考慮すると、「短いもの」「読み方が単純なもの」が一番です。 この観点から先ほど挙げたものをそれぞれ見ていきます。

『重誓偈』『讃仏偈』

これらが最も簡単で読みやすいと思います。 『重誓偈』は220字、『讃仏偈』は320字と非常に短く、数分で読み終えることができます。 読み方も音の上下がなく、同じ高さでずっと読んでいくだけです。

『仏説阿弥陀経』

これは読むのにもう少し長い時間がかかります。 また読み方も音の上下こそありませんが、かなり早口で読むため慣れるまでは難しいでしょう。

『正信念仏偈』(『正信偈』)

これはさらに長く、後に続く「和讃」まで合わせると30分はかかります。 蓮如上人の時代(500年以上前)より日常の勤行として用いられていますが、 これを毎日読むのは大変かもしれません。

また読み方についても音の上下が多く難しいです。 正しく読むためには何度も練習して慣れる必要があります。

『御文章』

これは他のものを読んだ後に読ませていただくことが多いです。 日本語(といっても500年以上前のものですが)で書かれていますので、なんとなく内容を想像しやすいのではないでしょうか。

その他

もっと長くて難しいお経も多数存在します。 例えば「浄土三部経」の一つである『仏説ぶっせつ無量寿経むりょうじゅきょう』は とても長く、読むと1-2時間はかかってしまいます。 法事等で読まれることはあるでしょうが、これを毎日読むことはまず無いでしょう。

目的から選ぶ

お勤めをする目的ですが、「仏徳讃嘆さんだん(仏の徳をほめたたえる)」や「報恩感謝」ということになります。 ですから「どのお経を読めばいいのか」という問題は 「仏さまをほめたたえ感謝の気持ちを述べるために、何をしようか、何を読もうか」ということになります。

長ければよいという性質のものではありません。 「今日は時間があるから『正信偈』を丁寧に勤めよう」「時間がないので『重誓偈』だけで済ませよう」 そんな感じで選ばれてはいかがでしょうか。

読み方につきましても、専門家のように必ずしも正しい音で読む必要はありません。 例えば『正信偈』を『重誓偈』同様にずっと同じ音の高さで読まれても構わないと思います。

あくまで自発的に勤めるものですから、お好きなものをお読みいただいて構いません。 ただし、「阿弥陀仏を讃嘆する」という目的を考えますと浄土真宗のものを読むべきです。 読みやすさ、内容の適切さということも考えますと、 これまでに挙げたものから選んで読んでいただくのが適当ではないかと思います。

参考文献

[1] 『浄土真宗本願寺派 日常勤行聖典』(浄土真宗本願寺派日常勤行聖典編纂委員会 本願寺出版社 2012年)

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