和讃
【わさん】
和讃とは
和語(日本語)で仏・菩薩・高僧の徳や教えを讃える歌をいう。仏教を日本的に解釈した親しみやすい仏教讃歌として平安時代中期から普及し、鎌倉時代に更に発展した。和讃は多くの人によって制作されたが、現存する量では親鸞の和讃が最大である。
親鸞の和讃
親鸞は『浄土和讃』『高僧和讃』『正像末和讃』の総称である『三帖和讃』を製作した。どの和讃も当時、流行歌であった「今様」に影響を受け、7・5調の4句を1首とする形態を基本としている。たくさんの人々が口ずさみ、より広くみ教えが広まるように製作した。
例1 「恩徳讃」 (『正像末和讃』より)
法要の終わりに歌うなど、よく親しまれている和讃である。現代語訳は以下のようになる。
【現代語訳】
阿弥陀仏の大いなる慈悲のめぐみは
身を粉にしてでも報いよう
釈尊をはじめ七高僧が勧めていただいたみ教えのめぐみも
骨をくだいても感謝しよう
例2 「讃阿弥陀仏偈和讃」5首目 (『浄土和讃』より)
こちらは字あまり・字足らずがない例として挙げる。この和讃は「正信念仏偈和讃」として日常の勤行の中で読まれることが多い。現代語訳は以下のようになる。
【現代語訳】
我執から離脱している阿弥陀仏の悟りの光明照らす範囲には際限がない
その光を身に触れるものはみな
有無の偏見から解き放たれると説かれる
平等の理法をさとった阿弥陀仏に帰依するべきである
現在、浄土真宗の日常勤行の中でもお経→念仏→和讃→回向→御文章といった流れで勤行の中に組み込まれることがある。『正信偈』においては六首引きといって、『浄土和讃』の「讃阿弥陀仏偈和讃」3首目から8首目までの6首を念仏と織り交ぜながら勤めることが多い。
参考文献
[1] 『真宗小辞典』(法蔵館 1953年)
[2] 『浄土真宗辞典』(浄土真宗本願寺派総合研究所 本願寺出版社 2013年)
[3] 『今様の時代 変容する宮廷芸能』(沖本幸子 東京大学出版会 2006年)
[4] 『浄土真宗本願寺派のお経』(双葉社 1997年)
[2] 『浄土真宗辞典』(浄土真宗本願寺派総合研究所 本願寺出版社 2013年)
[3] 『今様の時代 変容する宮廷芸能』(沖本幸子 東京大学出版会 2006年)
[4] 『浄土真宗本願寺派のお経』(双葉社 1997年)
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