韋提希(ヴァイデーヒー)
【いだいけ】
韋提希は、マガタ国の国王頻婆娑羅(ビンビサーラ)の妃で、後の国王阿闍世(アジャータシャトル)の母である。サンスクリット(梵語)でヴァイデーヒー、パーリ語でヴェーデーヒー。漢訳では、「韋提希」「韋提希夫人」「毘提希」「勝身」などと記される。
ある時、王舎城(ラージャグリハ)で、釈尊のいとこにあたる提婆達多(デーヴァダッタ)が、自ら教団のリーダーになろうとの企てに息子阿闍世を利用する事件が起きた。阿闍世は国王頻婆娑羅から王位を奪い、幽閉し、やがて死に至らせる。韋提希は幽閉されて食物すら与えられない頻婆娑羅を助けようとしたが失敗に終わり、彼女も幽閉されることとなった(仏教知識「提婆達多」、「阿闍世」参照)。この幽閉が解かれたのは、頻婆娑羅の死後であった。そして、父を殺した後悔で病に罹った阿闍世を献身的に看病したとされる。何歳で亡くなったかはわかっていない。
『仏説観無量寿経』では、釈尊の説法の相手である対告衆となっている。そこでは、王舎城における母韋提希の苦悩を記しながら、「凡夫」として浄土に往生する称名念仏の救いを説いている。
参考文献
[1] 『岩波 仏教辞典 第二版』(岩波書店 2002年)
[2] 『浄土真宗辞典』(浄土真宗本願寺派総合研究所 本願寺出版社 2013年)
[3] 『ブッダ その思想と生涯』(前田專學 春秋社 2012年)
[4] 『中村元選集〔決定版〕第14巻 原始仏教の成立』(中村元 春秋社 1992年)
[5] 『浄土真宗聖典 顕浄土真実教行証文類(現代語版)』(本願寺出版社 2000年)
[2] 『浄土真宗辞典』(浄土真宗本願寺派総合研究所 本願寺出版社 2013年)
[3] 『ブッダ その思想と生涯』(前田專學 春秋社 2012年)
[4] 『中村元選集〔決定版〕第14巻 原始仏教の成立』(中村元 春秋社 1992年)
[5] 『浄土真宗聖典 顕浄土真実教行証文類(現代語版)』(本願寺出版社 2000年)
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