蠟燭
【ろうそく】
浄土真宗の本尊である阿弥陀如来は様々な異名を持つ。そのひとつに阿弥陀如来の影像(絵像)や木像の背に光が放たれていることから光明本尊という名がある。この光明は蠟燭の光で顕され、智慧の光を意味するものである。(仏教知識「供養」、「仏壇」参照)
浄土真宗の寺院で用いる蠟燭は形が二種、色は四色に分けられる。まっすぐな棒形とくびれた碇形である。主に碇形を用いることが多い。
色は白蠟、朱蠟、金蠟、銀蠟である。
- 白蠟 …… 日常の勤行に用いる。
- 朱蠟 …… 報恩講法要や七回忌以降の年忌法要に用いる。
- 金蠟 …… 結婚式(仏前結婚式)や慶讃法要に用いる。
- 銀蠟 …… 葬儀、追悼法要、三回忌までの年忌法要に用いる。
金蠟、銀蠟は白蠟の上から金箔、銀箔を押したものである。金は朱、銀は白に代用も可能である。
点燭(蠟燭に火を灯すこと)しないときは木蠟を立てる。木蠟とは朱塗りの木製蠟燭である。木蠟は木製なのでイミテーションである。
寺院では原則として和蠟燭を使うと規定されているが、洋蠟燭を用いている寺院も多い。
この令和時代、洋蠟燭は百円均一店でも求めることが可能で安価なものであるが、江戸時代までの和蠟燭は大変貴重で高価なものであった。このため、部屋を灯すには一般的に菜種油を用いる灯心を使っていた。現代においても和蠟燭は京都などの専門店で取り扱われ高価なものである。
蠟燭を消す場合は芯切箸または芯切鋏を用いる。口で吹いたり手などであおいだりしてはいけない。また、次の画像のような「蠟燭消し」もある。
また表記は蠟燭であり、蝋燭、ロウソク、ローソクとは使わない。
参考文献
[1] 『浄土真宗本願寺派 法式規範(改訂版)』(浄土真宗本願寺派 勤式指導所 本願寺出版社 1999年)
[2] 『真宗門徒の仏事作法 お内仏のお給仕』(法蔵館 真宗仏事研究会 編 1984年)
[2] 『真宗門徒の仏事作法 お内仏のお給仕』(法蔵館 真宗仏事研究会 編 1984年)
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