仏壇

【ぶつだん】

浄土真宗における仏壇とはご本尊として阿弥陀如来を安置するところである。

本尊

仏壇の中にある阿弥陀如来の絵像は、本来目に見えないものを表したものである。同じく、仏壇とは目に見えない浄土を形に表そうと試みたものである。中央に阿弥陀如来絵像、向かって右側に十字名号(帰命きみょうじん十方じっぽう無碍光むげこう如来にょらい)左側に九字名号(南無なも不可思議ふかしぎこう如来にょらい)を安置する。蓮如は「木像よりも絵像、絵像よりも名号」といわれ、自ら名号のご本尊をたくさん書かれたが、それは偶像崇拝を廃し形にとらわれる事を避けるためであった。

仏壇の取り扱い

安置する場所は仏間が相応しい。仏間が無い場合は部屋の中の上座に安置する。上座とは入り口から最も離れた場所のことを指す。ただし、床の間が一番奥にあり、その手前に仏間がある場合の上座は仏壇前になる。また、部屋の構造上そうでない場合は座敷や居間の奥まっている静かな場所に安置する。

仏壇の向きに際しては特にこだわらない。あえて、向きにこだわるなら寺院の建て方を参考にする事も良いだろう。本願寺等の真宗寺院は東向きに建てられることが多い。これは西方浄土の観点から、参詣者が西に向かってお参りができるように建てられている。ほとんどの仏壇は木で出来ているため、湿気や乾燥に気をつけなければならない。直射日光等も避けるべきである。

三具足みつぐそく

基本的な仏具として三具足を用いる。蠟燭ろうそくを灯す燭台、花を立てる花瓶かひん、線香を燃やす香炉の事である。

蠟燭の光は如来の智慧ちえの光を象徴するものである。この光に全ての人の闇を照らしだし、救済しようとはたらきかけている如来の心である。現在では他の光は電気で代用することが多いが、「浄火をもやす」という意味から、燭台には蠟燭を使う。

花はすべてのものを慈しみ生かしている阿弥陀如来のいのちを象徴するものである。生き生きとした美しい花を通して如来のいのちにふれさせていただきたい。故に造花で代用することを避けていただきたい。花屋で仏花を求めても良いし、庭があるなら咲いたものを供えても良い。例外として、毒花、悪臭のある花、棘のある木等は避ける。

線香の香りは全てに行き渡り、周囲を清らかにし私たちの心身を安らかにする極楽浄土の香りを象徴する。

参考文献

[1] 『浄土真宗本願寺派 法式規範(改訂版)』(浄土真宗本願寺派 勤式指導所 本願寺出版社 1999年)
[2] 『真宗門徒の仏事作法 お内仏のお給仕』(法蔵館 真宗仏事研究会 編 1984年)
[3] 『朋友 浄土真宗入門のてびき』(浄土真宗本願寺派 仏教壮年会連盟 本願寺出版社 2008年)
[4] 『日常勤行聖典 解説と聖典意訳』(豊原大成 自照社出版 2014年)

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