袈裟
梵語カシャーヤの音写語。仏教知識「布施(布施波羅蜜)」で糞掃衣と記載の通り、使い古された布を継ぎ着用した。染色衣、壊色衣と漢訳する。条とよばれる短い布や長い布を継ぎ合わせ、条は五条から二十五条まで存在する。
インドでは作業などをするときに着用する内衣(五条仕立て)という腰に巻くものがある。この内衣の上に上衣を着て外出のほか、修禅、聞法、礼拝、読経をする。さらに王宮などに参るときは重衣(大衣)を身に纏った。内衣、上衣、重衣を三衣という。
インドから中国へ伝わり、中国では袈裟のみでは防寒にならないので衣服の上から着用することになる。そこから僧侶の衣体として装飾化され今日の袈裟に発展した。なお本願寺派では九条以上を用いることはない。
七条袈裟
慶讃法要や葬儀などで使う。条数は七つ。本願寺派の袈裟で最も大きいものであるがゆえ、大衣ともいう。1561年(永禄4)宗祖三百回大遠忌にて本願寺第十一代顕如が初めて用いた。その後に一般の僧侶も着用が認められた。七条袈裟は礼装であり、色衣(色の着いた衣)と共に用いる。また、必ず僧鋼板と切袴を着用する。
五条袈裟
年忌法要や法座、通夜などで使う。条数は五つ。五条袈裟は正装、略正装になり、色衣や黒衣(黒い色の衣)と共に用いる。正装の場合は切袴を着用し、略正装の場合は袴を省略する。大威儀を左肩にかけ小威儀を左肘関節部にかける。
小五条袈裟
五条袈裟の小型版。五条袈裟と違って大威儀が細い。本願寺晨朝勤行に用いる。着用は五条袈裟と同じ。黒衣のみに着用。
黄袈裟
名の通り黄色の五条袈裟。この黄色は乾陀羅色や木蘭色とよばれる少し濁った黄色である。得度式で授与される。また安居でも用いる。安居では、本講師は大五条の黄袈裟、大衆は小五条の黄袈裟を着用する。1756年(宝暦6)本願寺第十七代法如の時代、龍谷大学の前身である学林の学生が着る定服として使われた。
三緒袈裟
門主が帰敬式の際に着用する袈裟。筆者もこれだけは見たことがない。
輪袈裟
道通りですれ違う本願寺派僧侶が着用している袈裟。袈裟全体を輪状に仕立てたもの。1683年(天和3)ころから使われたとされる。法要出仕以外で用いる。
袈裟は原則として床や歩行の場所には置いてはいけない。また袈裟を着用したまま手洗いに行ってはいけない。
参考文献
[2] 『岩波 仏教辞典 第二版』(岩波書店 2002年)
[3] 『浄土真宗辞典』(浄土真宗本願寺派総合研究所 本願寺出版社 2013年)