浄土

【じょうど】

浄土じょうどとは、ぶつ如来にょらい)・菩薩ぼさつの住む清浄しょうじょう国土こくどのこと。煩悩ぼんのう罪悪ざいあくによってけがれた世界「穢土えど」(穢国えこくともいう)に対する言葉。浄刹じょうせつ浄界じょうかい浄国じょうこく浄邦じょうほうともいう。これは、菩薩が衆生しゅじょうを救いたいという誓願せいがんを起こし、この誓願を成就じょうじゅするための清浄しょうじょうな行いによって建立こんりゅうされた、穢れ(煩悩や罪悪)のない国土である。浄土思想史においては、浄土を三種類に分けて考えられる。

1. らい浄土じょうど く浄土 死後におもむく(往生おうじょう
2. じょう仏国土ぶっこくど る浄土 現実世界を浄土とする
3. じょう寂光土じゃっこうど る浄土 さとりにより真実にひたる浄土

浄土はこれら三種に分類されるが、死後に往生する浄土である来世浄土が一般的にはよく知られている。その中でも最も有名なのは、阿弥陀如来あみだにょらいの清浄国土である極楽ごくらく浄土である。このために「浄土」といえば、一般的に阿弥陀如来の極楽浄土を指し、阿弥陀如来の極楽浄土に往生する方法を説く教えを「浄土門じょうどもん」とよぶようになった。この他にも薬師やくし如来の浄瑠璃じょうるり浄土、観世音かんぜおん菩薩の補陀落ふだらく浄土、阿閦あしゅく如来の妙喜みょうき浄土などがある。

参考文献

[1] 『岩波 仏教辞典 第二版』(岩波書店 2002年)
[2] 『浄土真宗辞典』(浄土真宗本願寺派総合研究所 本願寺出版社 2013年)
[3] 『新 仏教語源散策』(中村元 東京書籍 1998年)

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