戦国本願寺外伝 序章 はじめに

【せんごくほんがんじがいでん 00 じょしょう はじめに】

真宗しんしゅう本棚ほんだな」と題したこのホームページに携わって十年近くの時間が経過した。今でもはっきり覚えているが、あれは津村別院つむらべついんで研修が行われた帰りの車の中だった。国道二十六号線岸里交差点信号待ちで伴林さんが浄土真宗のことを発信するホームページを作りたいという意志をはっきりと言った。インフォメーションテクノロジーに精通していることは知っていたが、いきなりこの人は何を言っているのだろう?と感じたことが第一印象であった。そもそも浄土真宗のことを発信する想像が全くつかなかった。この時、私と南木さんは全く乗り気ではなかった。しかし後日、別の先輩からも協力してみんなで作り上げていかないか?と言われると断る理由はなくなった。ルールとして必ず毎月一つの "何でもよいから" 原稿を書いてくること。その月で終わらなかったら次回までに修正して発表すること。"何でもよいから" というのが肝で、与えられた題材ではなく、自分で題材を探さなければならない。これはこれでとても難しいものである。最初は法式規範ほっしききはんを軸に過去に習ったことを原稿にして展開をした。しかし数年もするとそのネタは枯渇する。次第に宗祖しゅうそである親鸞聖人しんらんしょうにん(仏教知識「親鸞伝しんらんでん御伝鈔ごでんしょう」参照)、覚如上人かくにょしょうにん(仏教知識「覚如①」, 「覚如②」参照)、顕如上人けんにょしょうにん(仏教知識「顕如」・コラム「戦国本願寺シリーズ」参照)と本願寺に携わる重要人物たちの歴史をそれぞれ掲載した。特に顕如については「戦国本願寺シリーズ」として織田信長との争いを中心として書いた。本願寺歴代の中でも他には蓮如れんにょ上人が重要人物であるが、その生涯についてはすぐには書かなかった。その一番の理由は読むべき本が山盛りあるからであった。もちろん宗祖伝も読むべき本はとてつもない量である。だから「親鸞伝絵」という形で決まった段落を展開することによってなんとか書くことが出来た。こうして蓮如伝を今一度、自分自身が再度学ぶことを第一として「真宗の本棚」のコラムの中で「戦国本願寺外伝」として書くことを決意した。私が中学生の頃であった1998年(平成10)に蓮如上人500回遠忌おんき法要が勤修ごんしゅされた。ちょうどこの序章を書いている2024年十一月は先の法要から二十六年の歳月が経っている。そして二十四年後には550回遠忌法要が勤修されるはずである。先の500回遠忌法要の頃にたくさんの蓮如上人に関する文献が刊行されている。これらを軸に展開し、この序章を書いている現段階で蓮如が亡くなる話までは書き終えている。

 

全部で二十四、五、六話(まだどう終わらせるかは決まっていません)になるコラムなので月一回掲載したとしても二年以上かかりますが、ゆっくりとお付き合いいただければ幸いです。途中で蓮如教学きょうがくに触れる際に避けて通れない仏教知識数個に一年以上かかった時は「真宗の本棚」メンバーに随分と助けられました。以下参考文献になりますがここに一括掲載して各章には載せません。

参考文献

[1] 『浄土真宗辞典』(浄土真宗本願寺派総合研究所 本願寺出版社 2013年)
[2] 『岩波 仏教辞典 第二版』(岩波書店 2002年)
[3] 『浄土真宗聖典 -註釈版-』(本願寺出版社 2000年)
[4] 『浄土真宗聖典 七祖篇 -註釈版-』(浄土真宗教学研究所 浄土真宗聖典編纂委員会 本願寺出版社 1996年)
[5] 『図録 親鸞聖人余芳』(浄土真宗本願寺派 本願寺出版社 2010年)
[6] 『図録 蓮如上人余芳』(本願寺史料研究所 本願寺出版社 1998年)
[7] 『図録 顕如上人余芳』(本願寺史料研究所 本願寺出版社 1990年)
[8] 『新編 安心論題綱要』(勧学寮 編 本願寺出版社 2020年)
[9] 『安心論題を学ぶ』(内藤知康 本願寺出版社 2018年)
[10] 『聖典セミナー 教行信証 教行の巻』(梯實圓 本願寺出版社 2004年)
[11] 『聖典セミナー 教行信証 信の巻』(梯實圓 本願寺出版社 2013年)
[12] 『聖典セミナー 浄土三部経Ⅰ 無量寿経』(稲城選恵 本願寺出版社 2009年)
[13] 『聖典セミナー 尊号真像銘文』(白川晴顕 本願寺出版社 2007年)
[14] 『聖典セミナー 蓮如上人御一代記聞書』(藤沢量正 本願寺出版社 2020年)
[15] 『聖典セミナー 御文章』(宇野行信 本願寺出版社 2008年)
[16] 『親鸞聖人の教え』(勧学寮 本願寺出版社 2018年)
[17] 『真宗の教義と安心』(勧学寮 本願寺出版社 1998年)
[18] 『真宗聖教全書 一 三経七祖部』(真宗聖教全書編纂所 大八木実 1978年)
[19] 『聖典意訳 浄土三部経』(大遠忌記念聖典意訳編纂委員会 浄土真宗本願寺派出版部 1984年)
[20] 『聖典意訳 教行信証』(浄土真宗本願寺派総長 浄土真宗本願寺派出版部 1983年)
[21] 『浄土三部経と七祖の教え』(勧学寮 本願寺出版社 2009年)
[22] 『本願のこころ『尊号真像銘文』を読む』(梯實圓 法藏館 2014年)
[23] 『親鸞聖人の南無阿弥陀仏 ―六字釈のこころ―』(梯實圓 自照社出版 2019年)
[24] 『浄土真宗聖典 浄土三部経(現代語版)』(浄土真宗教学研究所浄土真宗聖典編纂委員会 本願寺出版社 1996年)
[25] 『なぜ?どうして?浄土真宗の教学相談』(赤井智顕 合同会社自照社 2022年)
[26] 『真宗史料集成 第二巻 蓮如とその教団』(同朋舎 1991年)
[27] 『真宗史料集成 第三巻 一向一揆』(同朋舎 1991年)
[28] 『浄土真宗聖典全書(五) 相伝篇 下』(教学伝道研究センター 本願寺出版社 2014年)
[29] 『増補改訂 本願寺史 第一巻』(浄土真宗本願寺派 本願寺出版社 2017年)
[30] 『増補改訂 本願寺史 第二巻』(浄土真宗本願寺派 本願寺出版社 2017年)
[31] 『御文章 ひらがな版 -拝読のために-』(浄土真宗教学研究所(現 教学伝道研究センター) 本願寺出版社 2005年)
[32] 『浄土真宗聖典 蓮如上人御一代記聞書(現代語版)』(本願寺出版社 1999年)
[33] 『蓮如 全八巻』(丹羽文雄 中央公論社 1983年)
[34] 『智慧のともしび 顕証寺本 蓮如上人絵ものがたり 顕証寺編』(顕証寺 法蔵館 2020年)
[35] 『蓮如上人 ‐その教えと生涯に学ぶ‐』』(梯實圓 福間光超 金龍静 本願寺出版社)
[36] 『親鸞と本願寺一族 ‐父と子の葛藤‐』(今井雅晴 雄山閣出版 1999年)
[37] 『蓮如上人の風景』(金龍静 本願寺出版社 1998年)
[38] 『蓮如上人と大阪』(千葉乗隆 本願寺津村別院 1997年)
[39] 『親鸞とその家族』(今井雅晴 自照社出版 1998年)
[40] 『北御堂今昔物語 大阪と本願寺』(岡村喜史 大喜直彦 浄土真宗本願寺派 本願寺津村別院 2013年)
[41] 『日常勤行聖典 解説と聖典意訳』(豊原大成 自照社出版 2014年)
[42] 『浄土真宗本願寺派 法式規範(改訂版)』(浄土真宗本願寺派 勤式指導所 本願寺出版社 1999年)

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