禅定(禅定波羅蜜)

【ぜんじょう(ぜんじょうはらみつ)】

六波羅蜜ろくはらみつのひとつ。梵語ぼんごディヤーナの漢訳かんやく。音訳では禅那ぜんなとなる。仏道ぶつどう修行しゅぎょうの基本とされる「かい持戒じかい)・じょう禅定ぜんじょう)・智慧ちえ)」の三学のひとつでもある。

六波羅蜜における禅定とは、精神を統一し心を一定にたもつこと、またはその状態を持続させることをいい、曹洞宗そうとうしゅう臨済宗りんざいしゅうにおける座禅ざぜんなどに代表される具体的な修行形態の「禅定」とは区別される。そのために、禅定の語句を使わずに、静慮じょうりょ波羅蜜、禅那波羅蜜、定到じょうとう彼岸ひがん、静慮到彼岸などと訳されることもある。つまり、禅定(静慮)波羅蜜とは、具体的な修行の方法を指すのではなく、六波羅蜜の四つの徳目(布施ふせ持戒じかい忍辱にんにく精進しょうじん)を実践するうえで必要な心の状態を指す。この禅定の状態に入ることを「入定にゅうじょう」、禅定の状態をくことを「しゅつじょう」という。

浄土じょうど三部経さんぶきょう」の『仏説ぶっせつ観無量寿経かんむりょうじゅきょう』には、阿弥陀あみだぶつ建立こんりゅうした浄土を観想かんそうするために定善じょうぜん散善さんぜん十六観が説かれており、その中のぞうかん(阿弥陀仏の姿を観想すること)において

出定しゅつじょう入定にゅうじょうにつねに妙法みょうほうく。 行者ぎょうじゃの〔入定中にゅうじょうちゅうに〕きしところのもの、出定しゅつじょうとき憶持おくじしててず (『浄土真宗聖典 -註釈版 第二版-』 P.101より)

しるし、禅定の状態で聞いた仏法ぶっぽうは、禅定から抜け出してもなおその人にはたらき続けると説いている。

参考文献

[1] 『浄土真宗辞典』(浄土真宗本願寺派総合研究所 本願寺出版社 2014年)
[2] 『浄土真宗聖典 -註釈版 第二版-』(教学伝道研究センター 本願寺出版社 2009年)

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