往生礼讃
【おうじょうらいさん】
往生礼讃とは
善導大師の著書、五部九巻の一つ。礼拝と懺悔を著されたもの。
礼拝は、南無と称える度に 両手、両膝、額を地面に伏す五体投地礼を行う。
懺悔は阿弥陀如来の尊前で 身、口、意の三業を悔い改め、その滅罪を請う行法である。身は体のあらゆる動作、所作。口は口から発する言語。意は心の働きとされる。
また、『往生礼讃』は今日の我々の日常生活から因んだものがある。『往生礼讃』の正式名称は『勧一切衆生願生西方極楽世界阿弥陀仏国六時礼讃』という。それ故に六時礼讃という異名で親しまれている。一日を六で割り晨朝(晨朝)、日中、日没、初夜、中夜、後夜と呼ばれる。
- 晨朝は六時から十時
- 日中は十時から十四時
- 日没は十四時から十八時
- 初夜は十八時から二十二時
- 中夜は二十二時から二時
- 後夜は二時から六時
浄土真宗では、御正忌報恩講の晨朝勤行に毎朝順番に勤行が行われ、他宗には浄土宗、時宗、融通念仏宗等でも法要に用いる事がある。
浄土真宗の正信偈六首引き和讃の作法で初重・二重・三重と発声法があるが、『往生礼讃』の別礼讃である『般舟讃』から得て勤められているという説がある。
天台声明をもとにした美しい旋律が特徴的で、独特の雰囲気を持った形のお勤めである。
参考文献
[1] 『浄土真宗本願寺派 法式規範(改訂版)』(浄土真宗本願寺派 勤式指導所 本願寺出版社 1999年)
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善導
善導(613~681)。
中国浄土教の大成者。
中国の臨淄(現在山東省)に生まれる(諸説あり)。
出家し各地を遍歴し、玄中寺の道綽に師事して『観無量寿経』の教えを受け、浄土教に帰依した。
道綽没後、長安の南の終南山悟真寺に入り厳しい修行に励む。
その後、長安の光明寺や市街において民衆に念仏の教えを弘める。
後に法然や親鸞をはじめ、日本の浄土教にも強い影響を与えた。
著書に『観無量寿経疏』
(観経疏) 『法事讃』『観念法門』『往生礼讃偈』『般舟讃』がある。
真宗七高僧第五祖。
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