焼香
【しょうこう】
香を焚いて仏壇や本堂を荘厳する(飾る)こと。浄土真宗本願寺派では法要や儀式にあたって沈香(香木)などを焚いて香を供えることをいう。焼香をするときは火をつけた炭を香炉に入れておき、刻んだ香木をその中に入れる。
『浄土真宗本願寺派 法式規範』には荘厳として点燭・供華・供香・供飯・供物が記載されており、焼香はこの中の「供香」にあたる。詳しくは仏教知識「供養」を参照のこと。
なお焼香は追善供養として死者の冥福を祈るためではなく、阿弥陀仏を敬い礼拝するために行う。
作法
焼香の作法は以下のようになっている(『浄土真宗本願寺派 法式規範』P.8-9 参考)。
- 香炉を置いた焼香卓の手前で立ち止まり、一揖する。
- 進んで着座。
- 香盒の蓋をとり、右縁にかける。
- 香を一回つまみ香炉に入れる。
- 香盒の蓋を閉じる。
- 合掌し、念仏を称える。
- 礼拝
- 起立して右足から後退。
- 足を揃えて一揖し、退く。
以上の流れを図にすると次のようになる。
一揖とは揖拝ともいい、次のように規定される。
揖拝とは、起立の姿勢で合掌をせずに上体を約十五度前方に傾けてから、おもむろに元の姿勢にもどすことをいう。
(『浄土真宗本願寺派 法式規範(改訂版)』 P.5より)
一揖、揖拝は敬礼動作にあたるので、焼香前にあらためて合掌をする必要はない。他宗の作法では香を押しいただくこと(つまんだ香を額に持っていく作法)があるが浄土真宗では押しいただく必要はない。つまんだ香そのものに利益などはないという意味である。
また、会館などで背の高い焼香卓を使用している場合は、起立したまま焼香をする。
参考文献
[1] 『浄土真宗本願寺派 法式規範(改訂版)』(浄土真宗本願寺派 勤式指導所 本願寺出版社 1999年)
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