焼香

【しょうこう】
[作法]
by 檀特 諒行 (祐貞寺)
2017/12/26(2023/07/01 更新)

香をいてぶつだんや本堂をしょうごんする(飾る)こと。じょうしんしゅうほんがんでは法要や儀式にあたってじんこうこうぼく)などを焚いて香をそなえることをいう。焼香をするときは火をつけた炭を香炉に入れておき、きざんだ香木をその中に入れる。

『浄土真宗本願寺派 ほっしきはん』には荘厳としててんしょくこうはんもつが記載されており、焼香はこの中の「供香」にあたる。詳しくは仏教知識「よう」を参照のこと。

なお焼香はついぜん供養として死者のめいふくを祈るためではなく、阿弥陀あみだぶつうやまらいはいするために行う。

作法

焼香の作法は以下のようになっている(『浄土真宗本願寺派 法式規範』P.8-9 参考)。

  1. 香炉こうろを置いた焼香じょくの手前で立ち止まり、一揖いちゆうする。
  2. 進んで着座。
  3. 香盒こうごうふたをとり、右縁みぎふちにかける。
  4. 香を一回つまみ香炉に入れる。
  5. 香盒の蓋を閉じる。
  6. 合掌し、念仏をとなえる。
  7. 礼拝
  8. 起立して右足から後退。
  9. 足を揃えて一揖し、退く。

以上の流れを図にすると次のようになる。

一揖いちゆうとは揖拝ゆうはいともいい、次のように規定される。

揖拝とは、起立の姿勢で合掌をせずに上体を約十五度前方に傾けてから、おもむろに元の姿勢にもどすことをいう。

(『浄土真宗本願寺派 法式規範(改訂版)』 P.5より)

一揖、揖拝はきょうらい動作にあたるので、焼香前にあらためて合掌をする必要はない。他宗の作法では香を押しいただくこと(つまんだ香を額に持っていく作法)があるが浄土真宗では押しいただく必要はない。つまんだ香そのものに利益りやくなどはないという意味である。

また、会館などで背の高い焼香じょくを使用している場合は、起立したまま焼香をする。

参考文献

[1] 『浄土真宗本願寺派 法式規範(改訂版)』(浄土真宗本願寺派 勤式指導所 本願寺出版社 1999年)

関連記事

焼香の作法、合掌礼拝の作法
仏教(ぶっきょう)の要素のうち、触れる機会が多いものに焼香や合掌礼拝といった作法があります。この作法について私見を交えながら細かいお話をしてみようと思います。「......
いつから? 香(こう)はインドから中国を経由して日本へ仏教伝来(ぶっきょうでんらい)とともに、仏前(ぶつぜん)の供(そな)えものとして渡来(とらい)した......
合掌 礼拝
古来インドで始まった礼法で、今日でもインド、東南アジアの仏教国では、合掌をして挨拶をする文化がある。 先ず、右手は清らかなものや知恵を表す仏の象徴といわれ......