成道会

【じょうどうえ】

成道じょうどうとは、仏教ぶっきょう開祖かいそである釈尊しゃくそんの成道を祝う法会ほうえ(※1)のこと。成道とはさとり(※2)をひらくことで、特に釈尊の場合を指す。

釈尊は、29歳の時に心安こころやすらかなみちを求めるために出家しゅっけして6年間にわたり苦行くぎょうを続けるが、やがて、これらの苦行によってはみずからが求める「すぐれた知見ちけん(※3)」はられないことに気づき、苦行と放逸ほういつという極端な立場にはとらわれない修行しゅぎょうをはじめた。そして35歳の時、アシュヴァッタじゅのもとで深い瞑想めいそうに入り「すぐれた知見」であるすべてのほう真理しんり)と完全な安らぎを感得かんとくしてさとりを開いた。(仏教知識「釈尊」参照)

仏教教団ぶっきょうきょうだんでは、この日を釈尊成道の日として祝い、仏教を開かれた釈尊に感謝する。

日本では成道の日を12月8日として、多くの宗派しゅうはで法会がおこなわれている。なお、南方なんぽう仏教では、誕生・成道・入滅にゅうめつを同じヴァイシャーカ月(※4)(4~5月)の満月の日としており、毎年祭りがもよおされている。

※1法会
仏事ぶつじ法要ほうようのこと。仏法ぶっぽうかんするあらゆる行事ぎょうじ儀式ぎしき集会しゅうかいを意味する。
※2さとり
まよいの世界をえて真理を体得たいとくすること。
※3知見
この場合、すべての真理を見きわめる洞察力。
※4ヴァイシャーカ月
インド暦第二の月

参考文献

[1] 『岩波 仏教辞典 第二版』(岩波書店 2002年)
[2] 『浄土真宗辞典』(浄土真宗本願寺派総合研究所 本願寺出版社 2013年)
[3] 『ゴータマ・ブッダ 上<普及版>』(中村元 春秋社 2012年)

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