涅槃会

【ねはんえ】

はんとは、仏教ぶっきょう開祖かいそである釈尊しゃくそん入滅にゅうめつしの法会ほうえ(※1)のこと。入滅の原語げんごはサンスクリット(梵語ぼんご)でニルヴァーナであり、漢訳かんやくでは「涅槃ねはん」「泥洹ないおん」とも音写おんしゃする。

釈尊は、80歳の時、バンダ村の鍛冶かじこうチュンダより供養くようされた食物しょくもつにあたり、重篤じゅうとくな状態におちいってしまった。しかし、釈尊は最後の力をしぼり、再び移動を始めた。クシナガラまでいた時、みずからの死期しきを感じた釈尊は、二本のサーラじゅ沙羅さら双樹そうじゅ)の間を自らの最期さいごの地と定め、頭を北に右脇を下に向け横たわった。釈尊は、アーナンダ(阿難あなん)ら弟子たちが見守る中、息を引き取った。目覚めざめた人(仏陀ぶっだ)の死は、その死によってすべてのものから完全に解放されたことを意味し、これを入滅にゅうめつともいう。「もろもろの事象じしょうるものである。おこたることなく修行しゅぎょう完成かんせいしなさい。」これが釈尊最後の言葉と伝えられている。(仏教知識「釈尊」参照)

仏教教団ぶっきょうきょうだんでは、この日を釈尊入滅の日としてしのんで、仏教を開かれた釈尊に感謝する。

日本では入滅の日を2月15日として多くのしゅうで法会が行われている。その際に、釈尊入滅時の様子ようすえがかれた「はん」をける場合がある。なお、南方なんぽう仏教では、誕生・成道じょうどう・入滅を同じヴァイシャーカ月(※2)(4~5月)の満月の日としており、毎年祭りがもよおされている。

※1法会
仏事ぶつじ法要ほうようのこと。仏法ぶっぽうかんするあらゆる行事ぎょうじ儀式ぎしき集会しゅうかいを意味する。
※2ヴァイシャーカ月
インド暦第二の月

参考文献

[1] 『岩波 仏教辞典 第二版』(岩波書店 2002年)
[2] 『浄土真宗辞典』(浄土真宗本願寺派総合研究所 本願寺出版社 2013年)
[3] 『ゴータマ・ブッダ 下<普及版>』(中村元 春秋社 2012年)

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