仏具の配置
はじめに
仏壇の仏具の置き方について解説したいと思います。仏壇や個々の仏具の意味については仏教知識からそれぞれご参照ください(※今後追加していく予定です)。ここではルール通りの配置ができない場合にどうすべきか、いろいろな仏壇を見てきた経験を踏まえつつ私の思うところを述べていきたいと思います。
実例と対応
まず以下の図をご覧ください。よく用いられる経本に掲載されている仏壇の図です。ご覧の通りかなり大きな仏壇で、こんなに立派なものはそうそうありません。ですから、この図の通りには配置できないことの方が多いです。そのような例をいくつか挙げ、私がよく行う対応についてご紹介します。
パーツが不足する場合
花瓶や蠟燭立が足りない
通常は三具足といって香炉の左右に花瓶と蠟燭立を1つずつ置きますが、法事のときには花瓶も蠟燭立も一対にする五具足という配置にします。ですが、花瓶や蠟燭立が不足しており五具足にできないことがあります。その場合は三具足のまま法事を勤めるようにしています。
香炉が足りない
焼香をする際は以下の説明にある通り金香炉に炭火と抹香を入れます。また、土香炉には焼香をしないときと同様、線香を入れます。
焼香をする場合、土香炉を香炉台の上にのせ金香炉を手前に置き、蓋を左側に置き、 香盒(香箱)を右側に置くとよい。 金香炉には炭火を入れ、その上に沈香、十種香、五種香などをのせ焼香をする。
(真宗の本棚『年忌法要(法事)』より)
しかし、金香炉が無かったり、あっても滅多に使われないためか中が空だったりすることがあります。炭火は非常に熱くなるため、灰が入っていない状態の金香炉に直接入れることはあまりありません。そのような場合には土香炉を焼香にも使用するようにしています。線香も炭火も入れておき、焼香の際には炭火の上に抹香を入れます。
図に無いものを置く場合
過去帳
過去帳は先に挙げた図には描かれていません。私は空いている場所に置いていただくようにしています。
故人の思い出の品(写真等)
どこに置くかは決まっていません。しかし、現実的にはそういったものは仏壇に向かうきっかけになるものであったり、故人を思い出すために重要なものであったりします。私は仏壇はそこに向かって手を合わせてこそのものだと思いますので、必ずしも置いてはいけないとは考えていません(正式には仏壇の中には置きません)。
ただし、その際は本尊が隠れることがないように気をつけるべきだと思っています。浄土真宗における仏壇とはご本尊として阿弥陀如来を安置するところですから、本尊を最優先に考えるべきです。また、置きたいものがたくさんある場合には仏壇の中には入れず、仏壇の前や横に置くのがいいと思います。
スペース等の都合から中に置けない場合
蠟燭立は仏壇の中の前卓の上に置くことになっています。前卓がない場合も仏壇の中(本尊より手前の段や引き出せる部分など)に置きますが、仏壇の前に置いた経卓に乗せることもよくあります。狭い仏壇内で火が燃えているのは危ないというのが主な理由です。
また、香炉も蠟燭立と同じく経卓に置かれることが多いです。その際には三具足を意識し、蠟燭立を右、香炉を中央に置いていただくようにしています。
まとめ
仏具の配置について決まりはあるものの、現実的にはその通りに出来ないことがあります。その場合は何かしらアレンジする必要がありますが、その際に私は「可能な範囲で図の配置に近づける」「本尊の阿弥陀如来を最も優先する」ということを考えています。
参考文献
[2] 『浄土真宗本願寺派 日常勤行聖典』(浄土真宗本願寺派日常勤行聖典編纂委員会 本願寺出版社 2012年)