目連(マウドガリヤーヤナ)

【もくれん】

釈尊しゃくそんの弟子。サンスクリットではマウドガリヤーヤナ、パーリ語ではモッガッラーナ。漢訳では「目連もくれん」「目犍連もくけんれん」などと記される。別名コーリタ。マガダ国の首都ラージャグリハ(王舎城おうしゃじょう)の北方のバラモンの家に生まれた。はじめは、根本原理については判断を中止する思想である懐疑かいぎ論者ろんしゃサンジャヤの弟子であったが、シャーリプトラ(舎利弗しゃりほつ)とともにサンジャヤの弟子250人を引き連れて、釈尊に帰依し改宗した。人間の能力を超えた不可思議な力である神通じんずうによって釈尊の身辺を護衛したと伝えられ、「神通第一」とたたえられた。また、この神通によって母が餓鬼がきどうで苦しんでいることがわかると、雨期の定住の終わった日(7月15日)に衆僧しゅそうを供養し母を餓鬼道から救い出したと伝えられ、盂蘭盆うらぼんの起源となったとされる。釈尊よりも先にシャーリプトラよりも後に世を去った。伝説によると、強引な伝道活動のためか、仏教教団をそねむ異教徒(ジャイナ教徒)に襲撃されて、悲惨な最期をとげたという。釈尊「十大じゅうだい弟子でし」の一人。

参考文献

[1] 『岩波 仏教辞典 第二版』(岩波書店 2002年)
[2] 『仏弟子の生涯 上<普及版>』(中村元 春秋社 2012年)

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