阿那律(アニルッダ)

【あなりつ】

釈尊しゃくそんの弟子。サンスクリットではアニルッダ、パーリ語ではアヌルッダ、漢訳では「阿那律あなりつ」「阿泥律陀あないりつだ」「ぬ(※)」などと記される。カピラヴァストゥに生まれ、釈尊のいとこにあたる。釈尊に帰依きえし出家したが、釈尊が説法せっぽうの最中に居眠りをして叱責しっせきを受けたといわれる。それ以後、不眠の誓いを立てて、長年にわたって睡眠を取らずに修行をしたために失明にいたったといわれる。しかし、この長年の修行により、天眼てんげんといわれる智慧ちえの眼を得て、「天眼てんげん第一だいいち」とたたえられた。釈尊の信頼もあつく最後の旅にも同行し、釈尊入滅にゅうめつの際には阿難あなんに指示をして、マッラ族に葬儀の用意を執り行わさせた。その後、釈尊が最後の安居あんごの地としたベールヴァ村の竹林で生涯を終えた。

※阿ぬ楼駄の「ぬ」の漢字は以下の通り

参考文献

[1] 『岩波 仏教辞典 第二版』(岩波書店 2002年)
[2] 『仏弟子の生涯 下<普及版>』(中村元 春秋社 2012年)

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